法人の重要な登記情報を証明する「現在事項全部証明書」銀行口座開設や許認可申請、各種契約時など、ビジネスのさまざまな場面で提出を求められる重要な書類です。しかし、似たような名称の証明書が複数存在することから、どの書類を取得すべきか迷われる方も多いのではないでしょうか。今回の記事では、現在事項全部証明書の基礎知識から具体的な取得方法まで、初めての方でもすぐに理解できるよう詳しく解説していきます。現在事項全部証明書とは現在事項全部証明書は、法人の最新の登記情報を証明する公的書類です。この証明書は「登記簿謄本」や「登記事項証明書」と呼ばれる法務局発行の公的書類群の一つとして位置づけられています。また、登記簿謄本は昔からの名称で、現在は「履歴事項全部証明書」がそれにあたります。しかし、今なお登記簿謄本と呼ばれることが多いようです。現在事項全部証明書と登記簿謄本の違い実はこの登記事項証明書(登記簿謄本)には4種類あり、それぞれ用途に応じて使い分けられています。現在事項証明書履歴事項全部証明書代表者事項証明書閉鎖事項証明書内容現在有効な登記事項のみが記載されている請求日の3年前の日が属する年の1月1日)以降、有効な登記事項が記載されている現在の代表者の情報(資格、氏名、住所)が記載されている清算済みの法人の登記履歴が記載されている用途金融機関の取引許認可申請など補助金の申請法人名義のクレジットカードの契約など海外ビザ申請重要契約の締結など履歴事項全部証明書以前の情報の証明などそれぞれの証明書には次のような特徴があります。現在事項証明書とは現時点で有効な登記事項のみを記載した証明書です。銀行口座開設や各種契約、入札参加時など、会社の現状確認が必要な場面で広く使用されます。履歴事項全部証明書とは現時点で有効な登記事項及び過去3年程度の変更履歴を含む証明書です。不動産取引や建設業許可申請、公共工事の入札など、企業の信用度や経営の安定性を確認する必要がある場合に求められます。閉鎖事項証明書とはすでに解散・清算した法人や3年以上前の変更履歴、管轄外移転により閉じられた従前の管轄法務局の登記記録を記載した証明書です。過去の取引トラブルの解決や法的手続き、清算後の債権回収などの場面で使用されます。代表者事項証明書とは代表者の資格を証明する書類です。主に、代表者やその権限の証明が必要な場合に提出が求められます。たとえば、海外でのビザ申請や重要な契約書の締結時などが代表的です。これらはすべて法務局で取得ができ、用途に応じて必要な種類を選択することが重要です。現在事項全部証明書の記載事項現在事項全部証明書は、企業の最新の登記事項が記載された公式な書類です。会社の基本情報や経営に関わる重要な事項が記載されており、具体的には以下のような内容が含まれます。会社が設立された年月日役員が就任した日付現在の商号の前に使用されていた商号本店所在地が変更される前の住所現在有効な登記事項(商号、本店所在地、公告方法、事業目的、発行可能株式総数、発行済株式総数、資本金額、株式譲渡制限に関する規定、役員情報) など登記事項は変更される可能性があるため、必ず最新の登記情報を参照し、過去の情報と混同しないようにしましょう。現在事項全部証明書が必要となる場面現在事項全部証明書は、会社の最新の登記情報を確認したいときに役立つ重要な書類です。特定の情報を確認したり、取引先や金融機関への提出が必要だったりする場合に取得しなければなりません。具体的には、以下のような場面で必要とされます。1. 現在の役員情報を確認したい場合会社の代表取締役や取締役、監査役などの最新の役員構成を確認する際に利用します。特に、役員の変更があった場合や新たに取引を開始する際に、正確な情報を把握するために取得されやすいです。2. 現在の登記情報を確認・証明したい場合会社の商号、本店所在地、資本金額、事業目的などの最新の登記内容を確認したいときに取得します。たとえば、融資を受ける際や、行政手続きの際に会社の情報を証明するために提出を求められるケースがあげられます。3. 「現在」の登記内容のみを確認したい場合履歴事項全部証明書には過去の変更履歴も含まれるため、情報量が多く見づらいというデメリットがあります。一方で、現在事項全部証明書は最新の情報のみが記載されているため、シンプルで分かりやすく、直近の登記内容だけを確認したい場合に便利です。4. 迷ったときは履歴事項全部証明書の取得が無難どの証明書を取得すべきか迷った場合は、履歴事項全部証明書を取得すると安心です。過去の変更履歴も含まれるため、必要な情報を漏れなく把握できます。現在事項全部証明書の取得方法現在事項全部証明書は必要になったときにスムーズに取得できるよう、手続きの流れを知っておくことが大切です。方法は大きく分けて4つあります。法務局窓口での申請郵送での申請登記・供託オンライン申請システムGVA 登記簿取得を利用する状況に応じて最適な方法を選択することで、効率的に証明書が入手できるでしょう。1.法務局窓口での申請法務局の窓口で直接申請する方法です。登記事項証明書交付申請書に必要事項を記入し、収入印紙(600円分)を貼付して申請します。窓口では「全部事項証明書(謄本)」の「現在事項証明書」にチェックを入れることになります。平日の9時から17時までの間であれば、その場で発行してもらえる便利な方法です。登記事項証明書交付申請書のPDF2.郵送での申請法務局に直接出向く時間がない場合は、郵送での申請も可能です。申請書と収入印紙を準備し、返信用封筒(切手貼付済み)を同封して管轄の法務局へ送付します。ただし、往復の郵送時間が必要なため、急いでいる場合は避けた方が無難でしょう。3.登記・供託オンライン申請システムインターネットを通じて24時間申請できる方法です。「登記・供託オンライン申請システム」に登録し、「かんたん証明書請求」から申請を行います。窓口での受け取りか郵送かを選択でき、手数料のクレジットカード決済も可能です。4.GVA 登記簿取得「GVA 登記簿取得」は、登記簿謄本や登記事項証明書などの登記関連書類をオンラインで取得できる便利なサービスです。このサービスを利用することで、履歴事項全部証明書や代表者事項証明書などの登記事項証明書を簡単に取得できるほか、急ぎで必要な登記情報のPDFをダウンロードすることも可能です。利用する際はメールアドレスとパスワードを登録し、アカウントを作成するだけで手続きが完了します。パソコンやスマートフォンから24時間365日いつでも申請できるため、時間や場所を選ばずに利用できるのが特徴です。最大のメリットは、法務局に直接出向いたり、郵送で依頼したりする手間を省ける点です。さらに、収入印紙を購入する必要がなく、最短1分で登記書類を取得できるため、時間を大幅に短縮できます。また、クレジットカード決済なので、手続きがスムーズに進む点も魅力の一つです。GVA登記簿取得を活用することで、登記関連の手続きをより効率的に進められるでしょう。よくある質問と注意点現在事項全部証明書を取得する際には、「どこで申請できるのか」「どのくらいの時間がかかるのか」など、さまざまな疑問を抱く方も少なくありません。また、申請時のミスや注意すべきポイントを知らないと、手続きがスムーズに進まないこともあります。最後によく寄せられる質問と、取得時に気をつけるべきポイントについて紹介します。有効期限はある?現在事項全部証明書に法律上の有効期限はありませんが、提出先によって発行から3ヶ月以内といった期限が設けられていることがほとんどです。特に金融機関への提出時は、事前に要件を確認しておくと安心です。英文の証明書はある?日本では登記簿謄本を英語で発行する制度がなく、必要に応じて自社で翻訳を行う必要があります。ただし、登記簿謄本には、法律用語も多く記載されているため、単に英語が得意なだけではなく、法律の専門知識を持っていなければ正確な翻訳を行うのは難しいのが現実です。さらに、社内に翻訳できる人材がいたとしても、提出先によっては公的文書の翻訳に関して「認定翻訳者(Certified Translator)が翻訳を行うこと」「公証役場等の認証を受けること」といった要件を設けているため、自己翻訳では正式な書類として認められない可能性があります。正確性や公的な認証が必須であることから、現在は専門の翻訳会社へ依頼するのが一般的ですが、インターネット上に翻訳の見本サンプルも掲載されているので、参考にはできるでしょう記載内容に変更があった時の対処法は?登記簿謄本の内容に変更が生じた場合、その変更手続きは「登記申請」として行われます。登記事項の変更を行うには、法務局での手続きが必要となります。手続きには専門的な知識が求められるため、もし自分で対応するのが難しい場合は、司法書士に依頼することが一般的です。費用を抑えて変更登記をするならオンラインサービスの「GVA 法人登記」がおすすめです。現在事項全部証明書は誰でも取得できる?現在事項全部証明書は手数料を支払えば誰でも取得できる書類です。取得には特別な資格は必要なく、単に証明書の請求を行うだけで手続きが完了します。取得に際して添付書類を準備する必要もなく、非常に簡便に入手可能です。ただし、本人確認書類の提示は必要です。電子データでの提出について提出先によっては電子データでの提出を認めているケースもあります。ただし、原本での提出を求められることが多いため、事前に提出先の要件を確認しておきましょう。まとめ現在事項全部証明書は、法人の現状を証明する重要な書類です。提出先によって要求される証明書の種類や有効期限が異なることがありますので、事前に確認しておくことが不可欠です。取得方法の選択は緊急性や用途によって判断しましょう。窓口での即日発行が必要な場合は法務局に直接出向き、じっくり準備できる場合は郵送やオンラインシステムの利用が賢明です。また、証明書は原本での提出を求められることが多いため、コピーを取って保管しておくことをおすすめします。また、デジタルデータでの保管も、急な提出要請に備える意味で有効です。現在事項全部証明書はビジネスシーンで頻繁に必要となる重要書類ですので、本記事を参考にして効率的な手続きを心がけましょう。