会社を経営していく中で、金融機関との取引、重要な契約の締結、許認可の申請など、様々な場面で「法人の登記簿謄本」の提出を求められることがあります。本記事では、この書類を法務局で請求するための具体的な取得方法について、窓口、郵送、オンライン請求それぞれを対象に解説します。法人の登記簿謄本はどんな書類?まず、「法人の登記簿謄本」とは何かを確認しておきましょう。登記簿謄本とは、登記所に記録されている登記内容を証明するための書類です。一般的に利用されるものには、土地や建物の権利関係を記録した「不動産登記」と、会社の情報を記録した「商業(法人)登記」の2種類があります。本記事で扱うのは、後者の「商業(法人)登記」です。法人の登記情報には、会社の商号(名称)、本店所在地、役員の氏名、資本金の額、事業目的といった、その法人の根幹をなす重要情報が記録されています。これらの情報を公的に証明するのが「法人の登記簿謄本」の役割です。「登記簿謄本」と「登記事項証明書」「履歴事項全部証明書」の違い実務上は「登記簿謄本」という言葉が広く使われていますが、現在、法務局で発行される書類の正式名称は「登記事項証明書」です。かつて登記情報は紙の登記簿で管理されており、その写しを「登記簿謄本」と呼んでいました。しかし、現在はデータで管理されているため、コンピュータから出力した証明書である「登記事項証明書」が正式名称です。意味合いとしては同じものといえます。提出先から特に指定がない場合、一般的に「会社の登記簿謄本」として求められるのは 登記事項証明書の種類の一つである「履歴事項全部証明書」です。役員の就任・退任の経緯や、過去の本店所在地なども含めて会社の全体像を証明できるため、最も汎用性が高く、信頼性のある書類として扱われます。迷った場合は、この「履歴事項全部証明書」を取得しておけば間違いありません。法人の登記簿謄本を法務局で取得する方法法人の登記事項証明書を取得する方法は、大きく分けて2つあります。法務局の窓口または郵送で請求する法務局のホームページ(オンライン)から請求するそれぞれの方法にメリット・デメリットがあり、手数料も異なります。状況に合わせて選びましょう。1.法務局の窓口で交付請求書を提出して請求する最もシンプルなのが、法務局の窓口に直接出向いて請求する方法です。法務局に備え付けられている「登記事項証明書交付請求書」に必要事項を記入し、手数料分の収入印紙を貼付して窓口に提出します。また、タッチパネル式の「証明書発行請求機」が設置されている法務局もあり、画面の案内に従って入力するだけで請求書を作成することもできます。手数料:1通につき600円支払い方法:手数料は収入印紙で納付します。収入印紙は、法務局内にある印紙販売所(売店)や、大きめの郵便局で購入できます。営業時間:法務局の窓口の受付時間は、平日の午前8時30分から午後5時15分までです。(土日祝日および年末年始は除く)また、窓口で請求するのと同じ交付請求書を使い、郵送で請求することも可能です。その場合、以下のものを同封して管轄の法務局へ郵送します。必要事項を記入した交付請求書手数料(600円)分の収入印紙返信用の封筒と切手ただし、郵送の場合は手元に届くまで数日かかる点と、請求先に不備があった場合に修正に時間がかかる点に注意が必要です。以下は交付請求書のスクリーンショットです。申請人の住所・氏名、取得したい会社の情報を記入し、請求事項①全部事項証明書(謄本)欄の履歴事項証明書にチェックを入れ、必要な通数を記入して提出します。2.法務局ホームページからオンライン請求で取得する法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を利用して、インターネット経由で登記事項証明書を請求することもできます。窓口に行く時間がない方や、手数料を少しでも安く抑えたい方におすすめです。参考URL: 登記事項証明書のオンライン請求のご案内(法務局)オンライン請求の場合、証明書の受け取り方法を以下の2つから選択できます。郵送で受け取る指定した住所に証明書を郵送してもらう方法です。法務局に出向く必要が一切ないため、最も手間がかかりません。手数料は1通500円です。最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取るオンラインで請求手続きだけ済ませておき、受け取りは最寄りの法務局や法務局証明サービスセンターの窓口で行う方法です。手数料は1通480円です。窓口請求(600円)と比較して、郵送なら100円、窓口受取なら120円安くなるのが大きなメリットです。支払い方法は、インターネットバンキングやPay-easy(ペイジー)対応のATMでの電子納付となるため、クレジットカードに慣れている方には若干ハードルが高いかもしれません。交付請求の手間を重視するならGVA 登記簿取得ここまで解説してきたように、法務局での取得にはいくつかの方法があります。しかし、「法務局に行く時間がない」「郵送手続きは面倒」「オンライン申請システムは会員登録や操作が分かりにくい」と感じる方もいらっしゃるでしょう。そのような場合に便利なのが、法人登記簿取得クラウド「GVA 登記簿取得」のようなオンラインサービスです。これらのサービスを利用すれば、法務局のシステムに直接アクセスすることなく、より簡単な手続きで登記事項証明書を取得できます。GVA 登記簿取得のメリットスマートフォンから簡単請求:スマホに最適化された画面で、数分で請求が完了します。クレジットカード決済に対応:使い慣れたクレジットカードで支払いが可能です。収入印紙の購入や電子納付の面倒がありません。最小限の入力項目:会社の名前や法人番号などで検索し、必要最低限の情報を入力するだけで請求できます。多少の手数料はかかりますが、「時間」と「手間」というコストを大幅に削減できる点は大きな魅力です。利用頻度・スタイルに応じて最適な方法を見つけましょう法務局が近くにあり、たまに1通取得する程度であれば、窓口での請求が手軽で確実です。一方で、法務局が遠い方や、複数の会社の証明書を頻繁に取得する必要がある方、日中は業務で忙しい方にとっては、オンライン請求や外部のオンラインサービスが非常に有効な選択肢となります。自分の利用頻度、法務局へのアクセスのしやすさ、そして何より「時間」と「手間」をどれだけ重視するかを検討し、最適な請求方法を見つけていただければ幸いです。