会社を創業すると、さまざまな場面で「履歴事項全部証明書」の提出を求められます。「とりあえず法務局で取得するか」と理解していても、「写しを持ってきてください」「コピーでも良いです」など、指定される内容に戸惑った経験はありませんか?本記事では履歴事項全部証明書の基本的な内容から、意外と知られていない「原本」と「写し」や「コピー」の違い、そして急なときの取得方法まで解説します。履歴事項全部証明書(法人の登記簿謄本)とは?履歴事項全部証明書とは、法務局に登録されている会社の登記情報が記載された公的な証明書です。会社の設立から現在までの重要な情報が網羅されており、会社の身分証明書のような役割を果たします。かつては紙の登記簿を直接謄写(コピー)していたため「登記簿謄本」と呼ばれていましたが、現在ではコンピューターで管理された登記情報が印刷されるため「登記事項証明書」が正式名称です。以下は弊社GVA TECHの履歴事項全部証明書の1ページ目のサンプル(スクリーンショット)です。履歴事項全部証明書は、登記事項証明書の種類の一つで、その名の通り現在効力のある登記事項に加えて、証明書の交付請求があった日の3年前の年の1月1日から請求日までの間に抹消された事項(辞任した役員など)も記載されています。履歴事項全部証明書の主な記載項目会社法人等番号: 会社に割り振られた12桁の識別番号商号: 会社の正式名称本店: 会社の本店所在地公告をする方法: 官報や日刊新聞紙など、会社が公告を行う方法会社設立の年月日: 会社が設立された日目的: 会社の事業内容発行可能株式総数: 会社が発行できる株式の最大数発行済株式の総数並びに種類及び数: 実際に発行されている株式の情報資本金の額: 会社の資本金の金額役員に関する事項: 取締役、代表取締役、監査役などの氏名や就任年月日履歴事項全部証明書(法人の登記簿謄本)が必要になるシーン・目的履歴事項全部証明書は、会社の信用情報や存在を公的に証明する必要がある、さまざまなビジネスシーンで要求されます。具体的には、以下のような手続きで必要となります。金融機関での手続き法人口座の開設融資の申し込み行政手続き許認可の申請(建設業、宅地建物取引業など)補助金や助成金の申請社会保険や労働保険の新規適用手続き契約・取引不動産の賃貸借契約や売買契約重要な取引先との契約締結時その他オフィスの賃貸契約携帯電話の法人契約「原本」と「写し」や「コピー」の違い提出を求められる際に、「履歴事項全部証明書の写し」「コピーを1部」といったように、異なる表現をされることがあります。これらは似ているようで、法的な意味合いや受け取られ方が異なる場合があるため、注意が必要です。原本法務局が発行した、認証文と公印のある公式な証明書です。最も証明力が高く、法的な効力を持ちます。金融機関での融資手続き、不動産登記、重要な許認可申請など、会社の存在や代表権を厳格に証明する必要がある場面で提出が求められます。通常「発行後3ヶ月以内」など有効期限が定められています。「履歴事項全部証明書の原本」と指定されたら、法務局で取得した書類をそのまま提出します。写し一般的に「写し」と指定された場合は、原本を複製(コピー)したものを指します。原本に記載された内容の確認が目的であり、公的な証明力はありません。ただし、提出先によっては「原本と相違ない」旨を記載し、社印を押すことで一定の信頼性を担保する場合もあります(原本証明といいます)。各種契約時の添付書類や、行政への届出などで認められることがあります。なお、コンピュータ化される前は「登記簿の写し = 謄本」を指していました。そのため、文脈によっては、「履歴事項全部証明書の写し」と言われても「履歴事項全部証明書の原本」を指す場合もあります。よく確認しましょう。コピー(スキャンデータ・PDF)単に原本を複写機やスキャナーで複製したものです。社内での情報共有や、申請内容の事前確認など、あくまで内部的な確認資料としての利用に限られます。公的な手続きの提出書類としては、原則として認められません。重要なのは、用途や提出先によってどのレベルの証明力が必要かを理解することです。厳格な手続きほど「原本」が求められ、一般的な確認であれば「写し(コピー)」で足りることが多いと覚えておきましょう。急ぎの場合は「GVA 登記簿取得」が便利「明日までに履歴事項全部証明書の原本が必要になった!」 「平日に法務局へ行く時間がない…」そんな時に便利なのが、オンラインで登記事項証明書の取得請求ができる「GVA 登記簿取得」です。GVA 登記簿取得を利用すれば、法務局の窓口に足を運ぶ必要がありません。スマートフォンやPCから、会社の名前や法人番号など、最低限の情報を入力するだけで、交付請求が完了します。支払いも使い慣れたクレジットカードで決済できるため、収入印紙を購入する手間もかかりません。手続きはわずか数分で完了し、請求した証明書は指定した住所に郵送で届きます。これにより、移動時間や待ち時間を気にする必要がなく、本来の業務に集中することができます。さらに、急いで内容を確認したい場合には、登記情報のPDFデータを合わせて請求することも可能です。これにより、原本の到着を待たずに、最新の登記内容をすぐに確認できます。書類の種類を把握しておき、もしもの時も慌てないように会社の経営を行っていると、予期せぬタイミングで急に履歴事項全部証明書が必要になる場面は少なくありません。そんな時に、「写しで良いのか、原本が必要なのか」「コピーとは何が違うのか」といった基本的な知識が不足していると、手続きが滞ってしまったり、二度手間になったりと、貴重な時間を浪費することになりかねません。「原本」「写し」「コピー」は、それぞれ求められる文脈や証明力が異なります。この違いを正しく理解して、もしもの時に慌てないようにしておきましょう。