会社の代表者が誰であるかを証明する代表者事項証明書。契約、銀行取引、法的手続きなど、ビジネスシーンで必要となる場面は多岐にわたります。「いざ必要になったけれど、どこでどうやって取得すればいいのかわからない…」という方もいるのではないでしょうか。代表者事項証明書は、法務局で取得できる書類ですが、取得方法がいくつかあり、どれを選べば良いか迷ってしまうこともあるでしょう。この記事では、代表者事項証明書の概要から、登記簿謄本との違い、必要となる場面をわかりやすく解説します。さらに、法務局での取得方法(窓口、郵送、オンライン)に加え、オンラインで手軽に取得できる「GVA 登記簿取得」についてもご紹介します。この記事を読めば、あなたに最適な代表者事項証明書の取得方法が見つかるはずです。代表者事項証明書とは代表者事項証明書とは、代表権のある者の証明として、会社・法人の代表者の代表権に関する事項で、現に効力を有する事項を記載した書面に認証文を付したものです。会社の代表者を証明する書類として利用されます。具体的には、会社の代表者が誰であるか、その代表者がどのような資格(代表取締役社長など)を持っているか、という情報が記載されています。取引先や関係者は、会社の代表者が正当な権限を持っていることを確認できます。では、登記簿謄本との違いは何でしょうか。ここでは、代表者事項証明書と登記簿謄本の違いを確認し、代表者事項証明書の見本を紹介します。代表者事項証明書と登記簿謄本の違い登記簿謄本(登記事項証明書)は、会社や法人の情報が記載された書類の総称として使われています。具体的には、現在事項証明書、履歴事項全部証明書、閉鎖事項証明書、代表者事項証明書という種類があります。つまり、代表者事項証明書は、登記簿謄本(登記事項証明書)の一種となります。代表者事項証明書の記載事項この代表者事項証明書には、以下の重要な情報が記載されています。会社法人等番号: 会社を一意に識別する12桁の番号です。商号: 会社の正式名称が記載されています。本店所在地: 会社の登記上の住所が記載されています。代表者の情報: 代表者の資格(この場合は代表取締役)、氏名、住所が記載されています。この証明書は、会社の代表者が誰であるか、その代表権を公的に証明するものです。取引や契約、法的手続きなどで、会社の代表者を証明する必要がある場合に使用されます。実際の証明書には、この他に発行日、発行した法務局名、登記官の氏名なども記載されます。代表者事項証明書と、現在事項証明書や履歴事項全部証明書との違いも確認しておきましょう。現在事項証明書は、会社に関する現在の情報を提供する証明書です。商号、本店所在地、役員、事業目的など、現在有効な情報が記載されており、会社の現在の状況を証明するために使用されます。また、履歴事項全部証明書は、会社に関する過去から現在までのすべての情報を提供する証明書です。現在有効な情報に加え、過去の変更履歴もすべて記載されており、会社の沿革や組織変更の経緯を確認するために使用されます。項目代表者事項証明書現在事項証明書履歴事項全部証明書特徴現在の代表者の情報(資格、氏名、住所)がコンパクトにまとまっているため、必要な情報がすぐに確認できる。ただし、代表者以外の情報や過去の情報は記載されていない。現在有効な情報(商号、本店所在地、役員、事業目的など)が網羅的に把握できる。ただし、過去の情報は記載されていない。現在有効な情報に加え、過去の変更履歴もすべて記載されており、会社の沿革や組織変更の経緯を確認できる。ただし、情報量が多いため、必要な情報を見つけるのに時間がかかる場合がある。対象期間現在現在請求日の3年前の日が属する年の1月1日以降に抹消・変更された情報主な活用場面代表者の代表権を証明する場合・契約、不動産取引など会社の現在の状況を証明する場合・金融機関との取引、許認可申請など会社の過去から現在までの沿革を証明する場合・会社の歴史、組織変更の確認など代表者事項証明書が必要となる場面代表者事項証明書は、会社の代表者が正当な代表権を有していることを証明するために、さまざまなビジネスシーンや法的手続きで必要となります。以下に、具体的な場面を挙げながら解説します。取引先や顧客への代表権の証明新規の取引先や顧客と契約を締結する際、相手方企業から代表権を証明する書類として代表者事項証明書の提出を求められることがあります。契約の当事者が会社を代表する権限を有していることを確認し、後々のトラブルを避けるために活用されます。代表者事項証明書を提示することで、相手方は安心して契約を進めることができます。金融取引や銀行取引の際の必要書類銀行で法人口座を開設する際や、融資を申し込む際、あるいは不動産を購入する際に金融機関から代表者事項証明書の提出を求められることがあります。口座名義人や融資の申込者が、会社を代表する権限を有していることを確認するために活用されます。金融機関は、代表者事項証明書によって、取引の正当性を確認し、リスクを低減できます。法的な手続きや訴訟の際の必要書類会社が訴訟を提起する場合や、訴えられた場合、法的な手続きを進める上で代表者事項証明書が必要となることがあります。訴状や答弁書などの書類に添付することで、訴訟当事者である会社の代表権を証明できます。裁判を起こすとき訴訟を提起する際には、訴状に資格証明書を添付する必要があり、資格証明書のひとつとして、代表者事項証明書を提出します。訴訟の相手方となる法人の代表者が誰であるかを明確にし、訴訟手続きを円滑に進めるために利用されます。具体的に、東京地方裁判所の民事事件係の資料「訴状を提出される方へ」には、資格証明書として、以下のように記載されています。事例必要書類通数取得先その他法人が原告または被告となる場合代表者事項証明書(法人名、本店所在地及び代表者名が分かるもの。ただし、事案により、他の事項を確認するための履歴事項証明書が必要となる場合があります。)1通法務局原本、3ヶ月以内のもの許認可の申請・更新建設業許可や宅地建物取引業免許など、事業を行う上で必要な許認可を申請・更新する際に、行政機関に代表者事項証明書の提出を求められることがあります。申請者が法人を代表する権限を有していることを確認するために活用されます。上記のほかにもさまざまな場面で、代表者事項証明書が必要書類となります。ただし、代表者事項証明書ではなく、登記事項証明書と記載されていることも多く、その場合は、具体的にどの種類の証明書が必要か事前に確認しておくといいでしょう。代表者事項証明書の取得方法代表者事項証明書の取得方法には、「法務局の窓口に出向く」「法務局に郵送する」「登記・供託オンライン申請システムを利用する」「GVA 登記簿取得を利用する」の4通りあります。窓口と郵送での手続きでは、下記の「登記事項証明書交付申請書」に必要事項を記入して提出します。代表者事項証明書を希望する場合は、赤枠の箇所を記入し、収入印紙600円を貼付しましょう。<登記事項証明書交付申請書 見本>法務局:「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-2.htmlさらに4つの取得方法について詳しく解説します。特に、手間をかけずに取得したい方には、「GVA 法人登記」をお勧めします。この章を参考に、自分にあった取得方法を見つけてください。法務局の窓口に出向いて申請する法務局が近くにある場合に限り有効で、直接出向いて窓口で申請する方法です。職員に質問しながら手続きを進められるため、初めての方にとっては安心して申請できます。前述の「登記事項証明書交付申請書」の「申請人」、「会社の名称」、「会社の住所」、「会社法人等番号」を記入し、「③代表者事項証明書」にチェックを入れて、必要な通数を書き入れます。右側の収入印紙欄に収入印紙600円を貼付して完成です。法務局窓口の営業時間は、平日の9:00~17:00です。混雑する場合も考慮して、時間的に余裕があるときに申請するといいでしょう。法務局に郵送で申請する法務局窓口の営業時間では都合がつきにくい場合、書類を郵送して申請する方法もいいでしょう。前述の「登記事項証明書交付申請書」(600円の収入印紙を貼付)を準備し、住所を書いた返信用封筒を同封して、管轄の法務局へ提出します。ただし、書類に不備があると受け付けてもらえない可能性があります。すべて自分で進めなければなりませんので、慣れていない方にとってはハードルが高いかもしれません。登記・供託オンライン申請システムを利用する前述の窓口申請や郵送申請の場合、申請のたびに申請書に必要事項を記入しなければなりません。しかし、「登記・供託オンライン申請システム」を利用すれば、手続きの大半をインターネット経由で済ますことができます。代表者事項証明書の取得であれば、環境設定が不要な「かんたん証明書請求」から交付申請することができます。画面の指示に従って必要事項を入力するばよく、証明書の送付先や受取人情報は、申請者情報登録時の情報が自動的に反映されますので、手間や時間を省けます。ただし、この場合でも、証明書の受け取りについては、法務局窓口に出向くか、郵送で送ってもらうかを選ぶ必要があり、インターネットのみで完結するわけではありません。GVA 登記簿取得を利用する最後に、「GVA 登記簿取得」を活用した代表者事項証明書の取得方法について紹介します。「GVA 登記簿取得」はメールアドレスだけで簡単に登録でき、法人を検索し、必要な書類を選択するだけで謄本の請求が可能なサービスです。証明書の取得についても、「登記事項証明書交付申請書」の面倒な書類の入力や提出は一切不要なので手軽に代表者事項証明書なの法人登記簿を取得したい方におすすめです。まとめ代表者事項証明書は、ビジネスシーンにおいて会社の代表権を証明するために不可欠な書類です。これまで代表者事項証明書の取得する方法として、法務局の窓口での申請、郵送での申請、登記・供託オンライン申請システムの利用、そしてGVA 登記簿取得の利用という4つの選択肢があることをこの記事では解説してきました。代表者事項証明書を取得する際には、その用途や目的に合わせて最適な方法を選択することが重要です。この記事が、読者の皆様が代表者事項証明書をスムーズに取得するための一助となれば幸いです。