この記事では銀行の法人口座名義変更を行う際に必要な書類を解説します。法人の状況が変わった際に法人口座の名義変更が必要になることがありますが、どのような場合に名義変更が必要で、どのような処理をしなくてはならないか分からない人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、法人口座の名義変更が必要となる具体的なケースから、手続きの流れ、必要な書類、さらに効率的な書類取得方法までを詳しく紹介します。法人口座の名義変更が必要になるケースそもそも、どのような場合に銀行の法人口座名義を変更する必要があるのでしょうか。ここではまず、法人口座の名義変更が必要になるケースについて紹介します。個人事業主が事業の拡大などを理由に法人なりするケース事業を個人で営んでいる方の中には、売上の増加や業務範囲の拡大、あるいは社会的信用力の向上を目指して、個人事業から法人形態へと移行する、いわゆる「法人なり」を行うケースが見られます。法人なりとは、個人事業主が会社を設立し、法人格を持って事業を継続することで、法人化によって取引先との信頼関係を築きやすくなるだけでなく、節税や資金調達の面でも有利になることがあります。しかし、この法人なりを行う際、個人名義の銀行口座では、法人としての事業資金管理ができないため、新たに法人名義の口座を開設する必要があるのです。ここで注意が必要なのは、単に既存口座の「名義だけを変更する」というわけにはいかないという点です。個人と法人は法律上まったく別の存在であるため、金融機関でも新規の法人口座としての取り扱いとなり、必要書類の提出や審査が必要になります。口座開設まである程度の期間を要するため、法人登記のタイミングと合わせて、早めに手続きを開始するようにしましょう。すでに開設している法人口座情報に変更があったケースすでに法人としての銀行口座を開設している場合であっても、会社の登記情報や代表者に関する変更が生じた際には、銀行口座の名義にも変更手続きが必要となります。これは、金融機関に登録されている口座名義が、原則として「法人名(例:株式会社〇〇)」と「代表者氏名」の組み合わせで構成されているためです。例えば「株式会社ABC 代表取締役 山田太郎」という口座名義で登録されていた場合に、次のような変更が発生したときは、銀行口座名義にもそれを反映させる必要があります。まず1つ目は、法人名(商号)の変更です。たとえば「株式会社ABC」から「株式会社ABCジャパン」へと社名を変更した場合、登記上の変更と同様に、銀行口座の名義も変更しなくてはいけません。2つ目は、代表者の変更です。代表取締役が交代した場合や、氏名変更(結婚・離婚など)によって代表者名が変わった場合も、名義変更が必要です。そして3つ目が、組織形態の変更です。たとえば、もともと合同会社(LLC)として設立された法人が、株主構成や事業展開の都合により株式会社へ組織変更した場合なども、法人名そのものは同じでも、登記上の形式が変わっているため、銀行口座も名義変更が発生します。このように、法人名・代表者名・組織形態のいずれかに変更があった場合には、銀行口座も名義変更しておく必要があります。変更手続きを行わないと、振込処理に支障をきたしたり、本人確認に不備が生じるなどのトラブルとなるおそれがあるため、登記変更とあわせて、口座名義変更も確実に行うようにしましょう。法人口座の変更の手続き方法法人口座の名義変更が必要な場合、どのように変更すればいいのでしょうか。ここでは名義変更のための手続き方法について説明します。法人口座の変更を行う際に、事前に商業登記の変更申請をする必要があるまず、社名(商号)変更や代表者(代表取締役)変更など、会社の登記情報を変更します。これは必要書類の一つに商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)があるので、最新の登記情報にしておかなければならないためです。法務局での登記情報変更処理を行わないと商業登記簿謄本も更新されず、口座名義も変更できないことになります。名義変更が必要になるような変更が発生する場合、登記変更のために株主総会の議事録が必要になります。ここで注意点として、定款などで株主総会議事録に署名や捺印が必要である旨を定めている場合、その署名・捺印取得に時間を要するために、その分だけ登記変更、そして名義変更の手続に日数がかかってしまいます。また、取締役会も同様に出席取締役・監査役の署名が必須です(会社法369条3項。但し、実開催ではない書面決議の場合は不要)。なるべく速やかに手続を進めるように事務処理を進めたいものです。法人口座の名義変更が必要で、もしまだ変更登記申請が済んでいなければ、手軽でスピーディに登記書類の作成ができるサービスGVA 法人登記」がおすすめです。法人口座の変更手続きの流れ名義変更の手続きは、基本的に各銀行の支店窓口で受け付けられます。銀行の公式ウェブサイトに名義変更に関する必要書類や注意事項が掲載されている場合がありますが、まずは取引のある銀行の担当者、または自社を担当している法人営業の窓口に連絡を取り、名義変更が必要である旨を伝えるところから始めましょう。銀行ごとに必要な書類やその有効期限、さらには手続き方法や受付体制に細かな違いがあるからです。例えば、書類は原本のみ受付可とされている銀行もあれば、事前予約が必須の銀行もありますし、繁忙期には予約が取りづらいこともあります。そのため、手続きをスムーズに進めるためには、最初の段階で担当者と具体的な流れや必要書類の一覧、注意点などを一通り確認しておくのが安心です。担当者とやり取りをして必要な書類の種類が確認できたら、それらの書類の準備に取りかかります。書類の詳細については後述しますが、たとえば代表者の本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカードのコピーが求められるケースがありますし、法人の印鑑証明書や登記事項証明書なども発行から3か月以内などの有効期限が定められていることが多いため、事前に手配しておく必要があります。中には発行に日数がかかるものや、取得に手間がかかる書類もあるため、余裕をもって準備を始めておくことが望ましいでしょう。また、代表者本人が来店できない場合に代理人による手続きを希望する場合には、委任状の作成や追加書類の提出も必要になりますので、その点も併せて確認しておきます。全ての書類が揃ったら、銀行の担当者または名義変更手続きを取り扱う支店に連絡を入れ、訪問の日時をあらかじめ予約しておきます。混雑緩和などのために来店予約制としている金融機関も多く、予約なしでは受付を断られることもあるため注意しましょう。予約当日は、必要書類一式と印鑑などを忘れずに持参し、窓口で所定の手続きを行います。書類に不備や不足がなければ、その場で受付が完了し、その後、およそ1週間から2週間程度で名義変更が完了します。手続きが完了し、口座名義が新たなものに切り替わったら、必要に応じて取引先や関係者に対して名義変更のお知らせを行うようにしましょう。法人口座の変更に必要な書類次に法人口座変更の際、一般的に必要な書類を紹介します。なお、銀行によって異なるケースがあるため、手続き前に銀行の担当者に確認をしておくようにしましょう。銀行や変更内容によって若干の違いはありますが、法人口座の名義変更には以下のような書類が必要になります。口座名義の変更届出書(銀行所定の様式)これは変更手続きの本体とも言える書類です。銀行ごとに専用のフォーマットが用意されており、店舗窓口や公式サイトで入手できます。新しい商号、代表者氏名、変更の理由などを記載します。楽天銀行の書式が同行ウェブサイトに公開されているので掲載します。登記事項証明書(履歴事項全部証明書)上述のように社名や代表者名などの登記変更を行ってから取得します。変更事項が反映されているか、取得時に再度確認するようにしましょう。履歴事項全部証明書をスピーディに取得申請するなら「GVA 登記簿取得」がオススメ!お持ちのスマホやPCから最短1分で取得申請できます。詳細はこちらから「GVA 登記簿取得」法人と代表者の印鑑証明書法人の印鑑証明書は会社の実印(法務局に登録された印鑑)の証明です。また、代表者個人の印鑑証明書は代表者が誰であるか、そしてその印鑑が正式なものであることを証明します。これらは、提出書類に押された印鑑が「本物である」ことを証明するために必要なものです。本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)基本的に銀行で手続を行う手続者の免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、写真付きの公的身分証明書が求められますが、健康保険証で足りるケースもあるようです。また、手続社がその会社に在籍していることが確認できる社員証や名刺も必要となります。なお、代表者本人が窓口に出向く場合でも提示を求められますので忘れないようにしましょう。法人の実印および銀行届出印書類への押印は、法務局に登録されている「法人実印」と、銀行口座開設時に届け出た「銀行印」を使用します。変更届にはこの2種類の印鑑が必要になることがあるため、事前に確認しておきましょう。法人口座の通帳、キャッシュカード名義変更によって変更前の通帳は使えなくなり、新しい通帳が発行されます。キャッシュカードも同様ですが、代表者交代の際であれば名義が印字されていないBUSINESS CARDなどは変更の必要がない場合もあります。定款の写し(必要な場合)銀行によっては、会社の商号や代表権の規定などを確認するため、最新の定款の写し(コピー)の提出を求められる場合があります。代理人が代わりに手続きをする場合は委任状委任状が必要な場合は銀行によって異なり、その会社の従業員であれば必要ないこともあるようです。委任状が必要な場合は記載文言もきちんと銀行に確認して作成するようにしましょう。その他の書類例えば、銀行の利用サービスによっては法人番号確認書類が必要、会社の合併に伴う名義変更であれば合併契約書の写しが必要であるといった具合に特別な書類が必要なケースもあるようです。名義変更の経緯なども銀行担当者に伝えて、必要な書類を洩れなく用意するようにしましょう。これらの書類は、登記簿謄本以外についても全て最新の情報である必要があります。なお、履歴事項全部証明書の取得は簡単で早く安い取得サービス、「GVA 登記簿取得」の利用がおすすめです。法人口座の名義変更時の書類はしっかりと事前確認して提出!法人口座の名義変更は、①個人事業主が法人化する「法人なり」の際に新たに法人名義口座を開設する場合、②既存の法人口座において商号・代表者・組織形態に変更が生じた場合などに必要となります。名義変更手続きにはまず登記情報を最新にし、履歴事項全部証明書を取得することが前提です。銀行によって必要書類や対応が異なるため、あらかじめ自社の担当者に確認し、書類準備と来店予約を行います。書類としては、変更届出書、登記事項証明書、印鑑証明書、本人確認書類、定款の写し、通帳・キャッシュカード、実印・銀行印などが必要で、代理人手続きの場合は委任状も求められる場合があります。名義変更は支店窓口で行われ、手続き完了まで1〜2週間程度かかります。登記情報や書類は全て最新のものを用意し、銀行担当者への事前確認をしっかり行って書類不備のないようにしましょう。変更登記手続には「GVA 法人登記」、履歴事項証明書の取得には「GVA 登記簿取得」の利用が便利でおすすめです。